2016年11月18日金曜日

業務用モバイルアプリが数分で作れるMicrosoftのPowerAppsを使ってみた

PowerAppsとは?


2016年11月1日、Microsoftが新たなサービス「PowerApps」を一般公開しました。すでに昨年12月に発表し、プレビュー版が使えていましたが、ついに一般公開されました。
このPowerApps、一言でいうと「モバイルアプリをプログラミングなしでさくっと作れてしまう」サービスです。 特に「業務用」のアプリに特化しています。

これまで、業務でモバイルアプリを使いたい時は、既成のアプリを使うか、莫大なコストを払って制作するしかありませんでした。そして、大抵の場合は前者です。

しかし、既成のアプリだと現場のニーズに合わない、ということも多々、生じます。かといってモバイルアプリを制作するとなると、技術者が必要ですし、外注すれば数百万は吹っ飛びます。

PowerAppsは、そんなジレンマを解消し、現場のニーズに応えて、さくっとモバイルアプリを作れてしまう、一見して魔法のようなサービスです。

使い方は?

いろいろな使い方ができるようですが、ここでは最も簡単な使い方を紹介します。
使う前に、登録が必要です。登録は公式サイトよりお願いします。

1. 接続する

PowerAppsの特徴は、Onedrive、ExcelといったMicrosoftのサービスだけでなく、外部の様々なサービスと連携させられる、という点です。

連携サービスは、Dropbox、Salesforce、GoogleDrive、Facebook、Twitterなど多岐に渡ります。さらに「オンプレミス」、いわば自前のデータベースに接続することもできるようです。

PowerAppsを開くと、左のメニューに「接続」というメニューがあります。そこで、連携させたいサービス、つまりデータソースがある場所を選び、連携させましょう。

2. WebまたはWindowsのPowerAppsでアプリを設計

次に、アプリを作ります。メニュー左下の「新しいアプリ」というボタンをクリックします。



Windowsの場合はダウンロードできるソフトがあり、Web版もあります。Windowsならダウンロードすることをお勧めします。



「新規」の画面から、連携させたいサービスを選び、(必要な場合は)指定するファイルなどデータソースを選びます。例ですが、Onedriveに保存したExcelファイルをデータソースとして指定することができます。



で、この段階で、もう自動でアプリが出来上がっています。この例だと、名前、所属などが項目として記載されたExcelのデータシートをもとに、アプリの画面が自動生成されました。新規作成、編集、検索などの機能がもともと備わっています。


このままでも良ければすぐに使えますし、カスタマイズもできます。
アプリができたら、保存しましょう。

3. PowerAppsアプリで起動する

PowerAppsは、モバイルアプリとして使われます。PCでも使えるのですが、モバイルに最適化されているので、どうも奇妙な感じになります。

タブレットやスマホで使うには、AppstoreやGoogle Playから、PowerAppsのアプリをダウンロードします。

ダウンロードしたアプリを立ち上げてログインすると、作ったアプリが出てきます。

これでもう、モバイルアプリの完成です。オリジナルアプリをホーム画面に設置することもできます。

どんなものが作れるか

ではこのPowerAppsを、どんな場面で使えるのか、私の職場である大学を例に考えてみました。

例1. 連絡先検索

学生や教職員の連絡先は、既存のなんらかのシステムがあるかもしれません。それ以外の、学外の関係者、外注業者などの連絡先も、研究室や部署内で管理したい時があるでしょう。

PCならExcel管理でもいいと思いますが、操作性が悪いですよね。

PowerAppsを使えば、Excelのリストをもとに、ものの数分で連絡先検索のアプリを作れてしまいます。

【更新(2018.4.29)】実際の活用例を書きました:PowerAppsで作るアプリ例 (1):学生情報検索アプリ

例2. 教室予約システム

教室予約ができるアプリは、需要がありそうです。教室の広さ、座席数など基本情報とできれば写真をのせたカタログを作っておき、1クリックで予約ができるようにする。

Microsoft Flowというサービスを組み合わせれば、承認/非承認のフローも効率化できそうです。

巨大な大学だと、どの教室がどんな教室か分からないので、それぞれの担当部署に電話して聞かなければいけません。予約の方法も場所によって違っていて、電話で申請するところ、書類を提出するところ・・・とバラバラだったりします。

ちなみに同じMicrosoftにBookingsという予約管理サービスがあるようです。こっちを使った方が楽な気がします。

例3. 実験のデータ記録送信アプリ

授業での活用法も考えてみました。私は理科系のことはあまり知りませんが、様々な実験データの記録に使えるのではと思います。 アプリ内にカメラ機能も埋め込めるようなので、写真とともにデータを送信するアプリなど、使えそうです。

結局、PowerAppsは「使える」のか

場合によりけり、だと思います。大学での活用法を考えてみましたが、正直、なかなか思い浮かびませんでした。というのも、大学では外回りの営業みたいな仕事は少ないですし、スマホやタブレットよりも、PCに最適化されていた方が良いです。タブレット、スマホ、PC全てでレイアウト調整してくれたらいいのにな、と思います。

また、PowerAppsのアプリを試してみましたが、起動が遅く感じました。オリジナルアプリを立ち上げるまでに、まずPowerApps→次にオリジナルアプリと2回のステップがありますが、その度に待ち時間があって、ちょっとイラっとします(※ホーム画面にオリジナルアプリへのショートカットを設置することはできます)。起動までが、もっさりもっさりです。もっとサクサク動いてほしいところです。

文句を書いてしまいましたが、モバイルアプリがものの数分で出来てしまったのには、正直感動しました。店舗、工場、グラウンドなど、PCを持ち込みづらい場所で活躍するのではと思います。今後の発展に期待、といったところです。

PowerAppsの入門書もぼちぼち登場しています。


続編書きました:


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